水濠を活用した城の守り方

水濠を活用した城の守り方
水濠を活用した城の守り方
ライター:菊原綾乃

 こんにちは。日本大学の菊原です。今回は中世、近世の日本の都市の管理領域を区別、或いは城及び城下町の防御の役割を担ってきた重要な都市施設である「堀」について学びたいと思います。
 中でも特に江戸上外堀跡と同様の「水濠」に着目して、「水濠」をどのように活用してお城を守っていったのか?、その仕組みについて紹介します!

堀の種類

 そもそも堀は大きく「空堀」「水濠」の2種類が存在します。空堀は中世の山城に多く採用されており、水濠は近世の平山や低地の場所に立地する城に採用されていました。両堀の特徴を簡単に紹介します。

空堀

 空堀は、水濠と異なり水が無く、山城等の城郭として整備された堀です。

 空堀の堀底の高低差が大きい程、敵の侵入が困難になり、地形の起伏が激しい土地(山地等)である程、防御に向いているという特徴があります。
 現存する空堀が見られる場所として、犬山城(愛知県犬山市)や滝山城(東京都八王子市)などがあります。

水濠

 水濠は、掘割に水が引かれていたもので、近世に築造された江戸城、大坂城が立地している丘陵や平地に築かれた城の城郭に利用されているものです。

 水濠では、水中に身を潜めてしまえば、敵の侵入は空堀に比べ容易かもしれません。
 現存する水濠が見られる場所として、外濠市民塾が活動の拠点としている、江戸城外堀跡があります。

侵入者から城を守る工夫

 水濠でどのように敵の侵入から城を守っていたのでしょうか。
 水中に身を潜めることは現代では少し現実味が無いかもしれませんが、直接橋を渡って城に侵入をすることは無謀なので、当時は水中に潜って侵入を試みた侵入者も居たかもしれません...

 そういった時に、敵の侵入を知らせてくれる存在として、水鳥や魚などの生物が役立ったと考えられます。現在の皇居にもサギやカモなどが水辺に居ますが、近世の図版にも、江戸城の内堀に水鳥が滞在している様子が描かれています。

広重 外さくら田 東都三十六景
(国立国会図書館所蔵)

広重 東都名所外桜田弁慶堀桜の井
(国立国会図書館所蔵)

 加えて、図版に見受けられるように、城が立地している地形が崖に近い傾斜であることから、水濠に潜って対岸に辿り着いたとしても、この崖を登ることは困難だと思われます。

おわりに

 近世の城郭形成を担っていた「水濠」ですが、水濠ならではの「水鳥」や、堀の特徴である「高低差」を活用して、城の防御を行っていたと考えます。
 その他にも、菱や、鳴子、網等を活用して城を守っていたという記事も見受けられ、非常に興味深いと感じました。
 近世に整備された外濠が実際にどのように活用されていたのかを、当時の図版を参考に想像してみることも面白いと思います!

参考

  • 東京大学都市デザイン研究室編:「図説 都市空間の構想力」,株式会社学芸出版社,2015
  • 錦絵でたのしむ江戸の名所
    https://www.ndl.go.jp/landmarks/
  • 超入門!お城セミナー第69回【構造】堀って泳いで渡ることはできなかったの?|城びと
    https://shirobito.jp/article/819

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