【外濠の鴨のナゾ】 なぜあいつらはぐるぐるするのか?

【外濠の鴨のナゾ】 なぜあいつらはぐるぐるするのか?
【外濠の鴨のナゾ】 なぜあいつらはぐるぐるするのか?
ライター:加計幸陽

こんにちは、法政大学大学院の加計です。
突然ですが、こちらの動画をご覧ください。

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あらかわいい。

これは2021年の冬、市ヶ谷駅の目の前にある江戸城外濠の市ヶ谷濠の水面を私が撮影したものです。
ご覧の通り、水面を鴨がぐるぐる回って泳いでいます。
これ実は少ない方で、多い時期にはこの2,3倍の量の鴨がぐるぐるしまくっているときもあります。

この光景は皆さん気になるようで、冬場にはよく通りすがりにスマホなどでこの様子を動画で撮影していらっしゃる方を何人も見かけます。

ではなぜ、あいつらはこんなかわいい泳ぎをしているのでしょうか?

そもそも鴨とは

デジタル大辞泉によれば、「鴨」の項目には次のように書いてあります。

 カモ目カモ科の鳥のうち、ガン・ハクチョウ類以外の総称。中・小形の水鳥。先の丸い平らなくちばしをもち、指に水かきがある。一般に雄の羽色は派手で、雌は褐色。日本には秋に渡ってきてつがいをつくり、春に北方の繁殖地に戻るものが多い。マガモ・コガモ・オナガガモや留鳥のカルガモなどは水面で餌をとり、キンクロハジロなどは潜って餌をとる。かもどり。あしがも。《 冬》「海くれて―の声ほのかに白し/芭蕉」
 利用しやすい相手。負かしやすい相手。「いい―にされる」

小学館 デジタル大辞泉「鴨」(https://kotobank.jp/word/%E9%B4%A8-466893

2の意味は置いておいて、注目すべきは「季語」が冬となっているところです。
日本ではほとんどの鴨たちは、冬にしか見られない冬鳥なのですね。

冬鳥の鴨

これまたデジタル大辞泉によれば、冬鳥とは「秋に来て冬を越し、春に去る渡り鳥」のことで、日本ではシベリア方面から渡来するものが多いとのこと。
( 小学館 デジタル大辞泉「冬鳥」 https://kotobank.jp/word/%E9%B4%A8-466893
つまり、もともと寒いシベリア方面に生きている鳥たちが、冬になって寒いので温かい日本側にやってくるというわけです。

そして鴨に限って言うと、マガモ,ヒドリガモ,コガモなどが挙げられるようです。

留鳥の鴨

一方、鴨の中には、種類は少ないですが留鳥(りゅうちょう、季節による移動をせず一年じゅう同一地域にすむ鳥)にあたる鳥もいるそうです。
( 小学館 デジタル大辞泉「留鳥」 https://kotobank.jp/word/%E7%95%99%E9%B3%A5-149727
具体的には、カルガモなどが該当します。

江戸城外濠にいるあのぐるぐる鴨は何者?

では、あのぐるぐる鴨は一体なんの種類なんでしょうか?

環境省の自然環境局 生物多様性センターが公開している「ガンカモ類の生態調査の対象種識別ガイド」によると、「よく見られるカモ」として次の10種類が挙げられています。

  • マガモ
  • オカヨシガモ
  • ハシビロガモ
  • ヨシガモ
  • ヒドリガモ
  • オナガガモ
  • カルガモ
  • コガモ
  • ホシハジロ
  • オシドリ

このうち、写真を先程の映像と比べると、次のようにどうやらハシビロガモのオスではないか?と推察できます。

上は環境省 自然環境局 生物多様性センター 「ガンカモ類の生態調査の対象種識別ガイド」 p.4より引用、
下は先程の映像の一部を切り取ったもの

このように、生物多様性センターが示している「黒く幅のある広いクチバシ」、「茶褐色の脇腹」という特徴が当てはまっています。
また、「しゃもじのようなクチバシを水面につけながら進み、餌をとる。」という記述の仕草は動画でも見られますね。

ただ、頭部については「緑色光沢のある頭、黄色い目」が少し違うようにも見えます。
動画では頭が黒く見えますが、画質の問題か光のあたり方でこのようになっているのかもしれません。

いずれにせよ、識別ガイドをもとにすればハシビロガモが最も近いように推察できます。

※ もちろん常に同じ種類がずっと外濠にいるとは限りません。

なぜぐるぐる回るのか?

さて、本題の「なぜぐるぐる回っているのか?」についてです。
私は小さいころ、祖母になぜぐるぐる回っているの?と聞いたとき、「冬で寒いから、みんなでぐるぐる回って体を温めているのよ」と教わったことがあります。
なんてカワイイんだ!!

・・・とずっと祖母を信じていたのですが、どうやらこれは嘘みたいです

2020年6月14日(日)にNHKで放送された「ダーウィンが来た!」の番組内、「東京生き物探検隊」においてこの真相が放送されていました。
TV出た蔵において確認できます)

それによると、この行動は

  1. 水面でぐるぐる回ると水中に上昇水流が発生
  2. すると水底にいたプランクトンが水面近くに上がってくる
  3. 水面にくちばしを付けてすくい上げるように食べる

というハシビロガモ特有の習性のようです。

ぐるぐるする鴨のかわいいイメージ図(「ダーウィンが来た!」を元に筆者作成)

つまり、主食であるプランクトンを効率的に食べるために、鴨同士がみんなで協力しあっていたのですね。
・・・どっちにしろカワイイ!!

みんなも外濠でぐるぐるするハシビロガモを見かけたら、食事中なんだなあと思ってかわいがりましょう。
以上です。

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